映像探偵団 

We are Footage Researchers

世の中は善意であふれている。

世の中は善意であふれている。

私は映像や音楽・画像の「権利処理」という言葉が嫌いです。
「事務処理」もなんか書類を右から左にハンコ押す感じ。
サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ的な
もしくはある世代の
「うちの女の子にやらせますんで」という言葉を連想します。
派遣さんに置き換えられてしまってる事務職も
プロとアマでは雲泥の差です。
時にはその会社の命運すら握ってるのでは?
電話一本の応対でとんでもないことになったり、
大きな仕事が消えることもあるわけで。
先日、日本が世界に誇る技術とテレビで紹介された女性が派遣社員で、
これが今の日本の現状か(闇か)とTwitterでも話題になりました。

私は「権利交渉」と言い換えたい。
その方がプロ感増すですよね。
「権利処理」の多くは、
権利者・協力者に、使用概要を説明し、その都度条件を話し合い、
最後にはお礼と完成作品の送付まで「仁義を通す」業務。
相手さんにことのほか善意を示され、もしくは喜ばれ、
それならご協力しましょう!今回だけですよ、
というご厚意をいただくことも。
雅なところの担当から
「今後はこういうことも対応していくべきなんですよねぇ(笑顔)」
などと相談されると、畏れ多いです。
以前は縦書き手書き申請書を送付、
達筆な許諾書の入った封書が届くのを待つのが
当たり前だったところから
「あ、アドレス教えてください」「へ?メールでいいんですか?」
許諾書がメールで即日届く。
ここ数年の変化はすごいです。
だからこそ、ちょっとコワイ。
「日本の誇る技術」も「権利交渉」も経験の積み重ねです。

それを蔑ろにしてると
足元でとんでもないことが起きてることに気づかないものです。
年の瀬の天皇誕生日の夜の電話
「権利処理をお願いしたいんです」
祝日の電話にも対応しますが、要件を伺うと
年末に使う映像、それも海外数カ国分の権利処理。
「ムリです。責任持てません。連絡しようにも
すでに海外はクリスマス休暇。
通常は1ヶ月あっても厳しい交渉です」
とお断りせざるを得ませんでした。
(それでも何箇所かは権利元に知ってる人がいたので
 とアドバイスはしたんですよ。
 だってそのADさんがこんな事態を引き起こしたわけではないはずで)

どうしてこんなことになるのか。
外注、下請け、派遣さん・・・
知識、経験を積み重ねていくことができない仕組みになってるからです。
で、今、次のステージに入ってる気がします。
下請け同士の互助精神。
それから権利者の同情心。
「ああ、またですかぁ、おたくも大変ですねぇ。
 ええ、いいですよ今回は特別に
 一応許諾出しますけど、書類は後でも・・・」
世の中の「下請けさん派遣さんお気の毒、上がわかってないからねぇ」
という善意で回ってること、ひしひしと感じる年の瀬です。

(業務まだ終了してないため、だーっと書きました。正月あけ文章修正します)

では良いお年をお迎えください。