映像探偵団 

We are Footage Researchers

阪神・淡路大震災 20年

いろんな映像をリサーチしてきましたが、
一番多いのが災害映像。
放送番組で使用するのはもちろん
その後の公的機関での啓蒙用ソフトや
企業の○周年記念イベントでの使用など。

阪神淡路大震災は当初「兵庫県南部地震」、
東日本大震災も発生当時は「東北・関東大震災
など名称にばらつきがありました。
これ、検索する際に1914年の関東大震災も引っ張ってくるため
期間限定して検索しなおすなど、混乱もありました。
今日のニュースをみても
阪神・淡路大震災」とはなってますが、
阪神大震災、と略して話されてしまうことも。
この「・」、外した方がいいと思うんですよね。
20年くらいでももう区別ができなくなります。
後世の人たちが調べやすいように
キーワードとなる名前はわかりやすく。

阪神・淡路大震災
ハイビジョン映像で膨大な記録が残されました。
そのなかで印象的なのは
老夫婦がガレキの中、たぶん自宅の跡地で何かを探している。
そこからずっと引いて行くと、ひろがる神戸の焼け跡。
今、個人を特定する映像はなかなか使えません。
でもこの映像は、どんなことがここで起こったのか、
そしていつ自分がこのようにガレキの中に
身をかがめて何かを探すことになるのか、
胸に迫ってきて涙が出た時を忘れられません。

今、また東京都心では大規模再開発が行われています。
この1週間に歩いた日本橋や目黒、そして渋谷。
クレーンが並ぶその光景をみて
一方で未だ仮設住宅に住む東日本大震災の被災者や
神戸で自力で自宅を再建したものの、
60代後半になっても、警備員のバイトをして
1800万円のローンの残金を払いつづける人を思い出すと、
この国のやってることはおかしい、と思わざるを得ません。

防災や避難訓練と同じく、
自分の生活も自衛をしなくては。
まったく縁のない、そして実態のない「アベノミクス」に
振り回されないよう、
今年の目標は「金を使わない」です。
震災で失うものをなるべく少なく、
持っているものも心の中にあるものも
整理したいと思います。

2015年も映像三昧でスタート

このブログ、読んでくれてる人いるのか?というレベルですが
極小会社経営者としては、
HPとFacebookとブログとTwitterくらい(いやしっかり多い)
アップさせておかないと、
何をやってる会社なのかわからないかも、信用してもらえないかもと
「会社案内」のつもりで続けてます。
(あんまり表にも出る仕事でもないですし、
 かといって、これやりました!的なプロジェクト名をあげていくと
 思いのほかメジャー感が出てきてしまうので。)

今年の正月は、いつにもましてテレビ漬けで過ごしました。
仕事柄、正月特番は録画しまくりますが、
今年はHDDからBDへ移す作業が追いつかないくらい。
夜中の集中再放送が充実してたのもあり、
民放にチャンネル回す(古いですね)ことなく
総合とBSを観まくり。

そのなかで、番組制作者の名前が間違ってクレジットされ、
それがTwitterでも話題に。
翌日の再放送ではしっかり修正されてましたが、
案外、このクレジット間違い、多く発生するんですよね。
たまにその作業をみていると、
確かにこれは間違えるよ、というシステムで。
手書きでテロップ発注していた時は
持ち込んだ側のADがミスしていたとしても
作ってくれるプロが修正したり、
間違いに気づいたりしてくれたんですけど、
現場で作業できるようになり、
ギリギリまで追い込めるようになってから、
よりこの手のミスが発生しやすくなったような。
放送なら次の再放送までに修正できますが、
例えばこれがDVDのプレスに入ってしまっていたら・・・
その直前で工場をストップしたことが2度ほどあります。

画像でも映像でも権利者の名前をクレジットする、というのが
何よりも大事で。
それさえちゃんとやれば使用料なしでもOKなことも。

映像制作にはエンドロールに載る人以外にも
沢山の人が関わっていて
みんながみんな名前が載るわけではありません。
私も業務内容からみても
そこはこだわってないというか、
その他の無名のスタッフと一緒で当たり前と思ってます。
(見せたい家族・親戚もいませんし。
 たまに業務量が多かった作品の時に
 好意で載せてもらうことありますが、
 正直なところは嬉しいもんです。)

うちが社員を増やさない理由はここにもあります。
何人か社員雇いましたが、
やっぱり社長が昼夜関係なくあくせく働いていても
わかりやすい成果、というか表にはでない仕事。
そういうので意欲って低下するような気がするからです。
やっぱりこんな地味な仕事でも好き!という気持ちがないと。
「憧れの仕事」の対象にはならないんで、
まぁ今年も周りの達人たちの知恵を借りながら
ひとり、こつこつやるしかないな、と思ってます。
(年末に大容量HDDを運んで痛めた腰に湿布を張りつつ)

本年もようやく仕事納め

仕事の性質上、盆暮れ関係なく働きます。
今年も毎日連絡がくる映像リサーチの業務
「今日で終わりかな」と思いつつ、結局大晦日まで。
でもそれほど苦ではありません。
みんな寝てなそうな感じの時に
ちょっとでも役に立ってるのかな?
ちゃんと「年末なのにすいません」って言葉を
かけていただけるし、むしろ嬉しかったりします。

起業して11年、ずっと介護でいつ呼び出されるかわからない状態だと
働けるうちに働いておかないと、という焦りがあります。
実際、父が入院している病院の中でも、
母のおむつを買いに行ってる途中でも、
父を看取って、慌てて喪服を買いに行ってる途中でも、
(危篤状態といっても、この段階で喪服を持って実家に帰る気持ちには
 ならないものです)
仕事しなくちゃいけませんでしたし。

これから1本メールをしてようやく業務完了。
今年秋からの4K映像の仕事で
大容量HDDを運ぶことが多くて。
これってカートで運ぶとデータがショックで消えそうで、
1台づつ抱えて運ぶんですが、
年末に集中して運搬作業になったため、腰にきました。
昨日から腰痛、動けません。
ようやく大掃除と思っても安静にしてないと。
以前も重いテープ運びすぎで、病院に通って治したんですけど。
こういうのが労災で扱われないところが
フリーのつらいところです。

渋谷区が公園閉鎖しました。
ホームレスの方に
ボランティアが炊き出しする場所すらない、って情けない話です。
渋谷区民、やめてしまいたいくらい、
国際的にも恥ずかしいレベル。
私も今のところ再来年までは仕事あるなとちょっと安心してますが
体調崩して、仕事ができなくなれば
明日は我が身。

バブル崩壊を2回ほどみてきた世代としては
来年、またコワいことになりそうな予感がして、
(うちの仕事は幸いなことにあまり左右されませんが)
粛々と自己防衛の準備をしようと思います。

みなさん良いお年を。

小さいままなんとか11年すぎて。

映像を探して、画質評価、データ変換などの必要な技術作業
及び権利処理をして提供する、という業務。
これは今後も継続していきます。
すでに数年先までのスパンで動いているものもあるし、
そこは大事に。

今後はあんまり体力勝負(時差関係なく寝ないで海外権利処理とか)
できなくなるな、と
年350日働いた感のある10年をすぎて、
ちょっと仕事の進め方を考え直したい気分です。

仕事とプライベートを分けられませんよね。
起業直後に始まった両親の遠距離介護。
あと数年はスタジオ入りきりの仕事が続きますが、
ネットでできる仕事に徐々にシフトできれば。
(ここ数年で急速に可能なことが増えました。
 動画はイギリスでもノルウエーの放送局でも
 伝送してもらえます。
 打ち合わせすら、メールと動画伝送などでできますし)

地震も噴火も異常気象も、東京はリスクが高いので
将来はちょっと安全な感じのする札幌に戻ることも考えてみようかと。

世界のライブラリー 随時ご紹介予定

長年、この映像リサーチの仕事をやってまして、
各国の公的機関や民間のライブラリーを利用してきました。
ネットで動画アップなんてことが大変な、
というより、静止画レベルでさえ、ダウンロードするのに
えらい時間がかかった時代から。

専門性を持った小さなライブラリーもありますが、
最近はいわゆるグローバル企業の仲間に入るところも増えて。
理由は動画検索できるデータベースの構築に
金がかかりすぎるってことでもあるかと。
この動画検索、特許もあったりして、
小さな会社が作ろうとするのはムリなことも。
そんなデータベース作りの相談を受けたりすると
YouTubeにアップして、コンタクト先を明記した方が
楽ですよ」なんて話もしておりました。
実際、ドイツの自然災害系のライブラリーは
YouTubeに自社動画をアップしています。
そしてその方が探す方も効率的。
この動画検索する為のデータベースの話はまたどこかのタイミングで。

このライブラリーが統合を重ねて、巨大サイトになっていったり
BBCNHKの映像の一部(これホントごく一部でしかありません)を
GetteyImagesが取り扱うようになったり・・・
ただ、実際はそれだけでは探せないことも多く、
少しずつですが、たどり着いたライブラリーのサイトを
弊社のFacebookに随時あげております。
4Kコンテンツ制作にも関わったりしますんで
その関連ニュースなども。

以前、世界のライブラリーを各国ごとにまとめたリストを作成したので、
例えば戦争の記録映像や、1920年以降のアメリカの映像などの
専門ライブラリーや、
BBCやCNNだけではなく、
いろんな国の放送局のライブラリーもたどりつけるような
リンクを用意できれば、と思ってます。

今月末からの放送分と来年の仕事に向けて、
もう少し情報を整理しておきたいところです。

契約書や撮影許可書に結局戻る

口約束や商慣行でずっと進んできた日本の番組制作や映画製作、
オバマさんが寿司屋で何を譲歩させたのか?
まだ情報が出てきませんし、
TPP交渉で著作権がどう変わって行くのか・・・
これはプロにお任せするしかなく。

いわゆる「権利処理」という業務をやってきて
ここ数年の権利者の意識の違い、
まあいうなれば「覚醒」ぶりに恐怖を感じる毎日です。
でもその権利の範囲が明解に規定されていない
もしくは本来ないはずの「権利」を主張されることが多いんです。
例えば写真なら
撮影者とその中に写っている人の肖像権
(これは肖像で商売できる人の権利、
 一般の方の場合はプライバシーの侵害など、
ちょっと違う意味合いにになります)
どこか私有地の撮影ならその場所の撮影許可先
ということになりますが、
これも口約束などで済んでいる場合が多い。
映像になると、画面に映り込んでいるのは
もっと多数の権利が発生していることも。
それをほぐしていく作業が発生します。
で、途中でハタッと。
これって、連絡すべき相手か?
もっというとお金を払う必要があるか?
というケースに遭遇することが。
でも、その時の担当者に余裕がない場合、
小額なら、と言われるままに
使用料を支払ってしまう・・・
そしてこれが前例となってしまう。
私が連絡して「著作権はこちらにあるのですが
ご協力をいただいたのでご連絡はいたしました
(お金は支払いません)」
という、まあ訳のわからない連絡をすると、
この前例が引き金となり、余計な騒ぎが起きるのです。
だからやっぱり契約書。

海外では10秒の映像使用でも
違約金などの記載がある(案外法外です)
平均6枚くらいの契約書に双方サインをします。
そしてクレジットカードの先払いが多くなりました。

今後、ネット配信や海外展開、などと進むと
今まで日本国内で慣例に基づいて進んでいた話が、
英語の契約書の内容を隅々までチェックしないと
恐ろしい!という時代になります。
これってたぶんいままでの3倍の労力、
一人でやってこれたことが、複数のプロの手が必要になります。
実際、昨年の業務で、裁判が起きる事態になった場合
どこの裁判所を使うのか、という項目で一悶着ありました。
こちら側が権利を持ち、提供する立場にあるのに
クライアントから先方の国の裁判所で、という要求をされ、
それを中立な第3者的な国の裁判所という記載にまで、交渉しつづける。
その労力が映像を提供するよりも何倍もかかりました。
その後、この経験を元に「日本の裁判所で、ということでないと
まずお話は進められません」ということにしていますが、
下請けで仕事をしていると、上流の方で
その点うやむや、もしくは誰もそこを確認せずに業務を進めてしまっていて
後の祭り、状態・・・。

毎回、撮影許可書と契約書、
もしくは口約束でもメールでも、最初の交渉の切れ端を探すこと、
そして前例、特に支払い実績や、以前の交渉の経緯を
関係者(これも散らばっているので、担当を探しいくこともまさに探偵)に
確認する・・・

面倒なんで、時々こんな割の合わない仕事辞めてやる!
って半べそ書いて、
深夜権利者への手紙(アナログな手段が一番いい時もあります)
を書いてることも多いのです。

映像=Image

「映像」という言葉は、昭和に入って、
テレビ放送が開始されてからの造語だそうです。

言葉を探すのはネット上では簡単になりましたが、
「映像を探すこと」はいまだ骨の折れる作業です。
「イメージを伝えるのが難しい・・」なんてよく言いますし。
「雲」といわれて、青空?暗雲?季節はいつ?流れる方向は?
googleで動画検索をしたり、
数ある映像ライブラリーで検索しても、
自分で思い描いている映像にたどりつくのは結構時間がかかります。

「サバンナの夕景」も、
そこに映っているキリンが必要なときもありますし、
美しい夕日だけがほしい、ということもあります。
大地や木の陰の少し暗いところがざらついていて
画質のクオリティを求める展示映像としては使用できないかもしれない、
でも子供たちを対象とした教育用ならとても喜ばれるカットになる。

いまだよく言われるのが「花」の映像。
国内の花か、それとも海外の撮影のものか
日本古来の花か、品種改良された花なのか
花屋さんの店頭にあるようなあでやかな花か
高い山で風になびく小さな白い花か・・・
以前頼まれたのは「画家が描いてきた花」
あんまりパキッとクリアな花の映像より
絵画的な色合いのもの(これも微妙な表現ですが・・・)
これもキーワード検索では出てきません。
「ひまわり」の検索結果数百件分を
ただひたすら試写していくだけです。

ひとつの画面にいろんな意味が盛り込まれてしまう映像は
とてもデータベース化しづらいものです。
人の記憶の中の、いつかみた映画やテレビのワンシーンを伝えあって、
いくつもの言葉を重ねて、
お互いの頭の中のイメージを共有することから、映像探しは始まります。

映像探偵団 営業中

「映像探偵団」
このブログ名 実は数年前に別のところに立ち上げて、それきり。
今回、会社のHPとリンクさせる形で再スタートすることにしました。
映像を探すという仕事、
最近は映像ライブラリーも増えて、動画検索も可能になり
格段に探しやすくなりました。
むしろ困っているのは、以前使った映像の所蔵先を探したり、
映像が撮影された場所や時代を特定したりするケース。
例えば10年前に使った作品から引用しようとすると、
その後、撮影場所が間違ってたり、所蔵先が変わったり、
もしくは個人所蔵が故人になって連絡がつかなかったり、
実は使用についてクレームが入っていたなんてことも。

そもそも契約書なんてものも残っていない場合も多い。
個人で所有していて、辞めたりするとそのまま廃棄されたり、
口約束だけだったり。
撮影許可書、とても大事なんですけど、
(教育目的用の撮影許可だと商業目的では再申請が必要)
その時のコーディネータが持ったままだったり
契約書同様残っていないことも。
契約書残ってないから使用したらダメですよ、
ですめばいいんですけど、
なんとか権利者に連絡しようとする・・・
何ヶ月もかかることもあります。

また、その時代、その作品のナレーションや構成で使えた映像も、
今は意味が違ってくる場合も。
例えば「戦後の焼け跡」お決まりのカットが出てきますが、
それがどこの焼け跡なのか?ナレーションで場所を特定していないか?
先日の仕事では、元のテープを何本もみて
煙突の数で場所を特定しました。

前も使ったから今回も使えるとは限らないのです。
映像が簡単にコピーされ、加工され、使い回しされるために発生した問題。
CG合成された映像の下にだって権利処理必要な写真が潜んでます。

たぶん、このブログ、更新は滅多にできません。
内容も修正加えながら、になるかと。
守秘義務ありますし、あまりぶちまけられない、と思います。
ただ、数十年やってきたなかで、変わってきたこと変わらない事、
相変わらず困っていること、その悪戦苦闘ぶりを一部ご紹介いたします。
(いや、本当に時々「探偵かよ!」っていう状況に陥るんで。)