映像探偵団 

We are Footage Researchers

契約書や撮影許可書に結局戻る

口約束や商慣行でずっと進んできた日本の番組制作や映画製作、
オバマさんが寿司屋で何を譲歩させたのか?
まだ情報が出てきませんし、
TPP交渉で著作権がどう変わって行くのか・・・
これはプロにお任せするしかなく。

いわゆる「権利処理」という業務をやってきて
ここ数年の権利者の意識の違い、
まあいうなれば「覚醒」ぶりに恐怖を感じる毎日です。
でもその権利の範囲が明解に規定されていない
もしくは本来ないはずの「権利」を主張されることが多いんです。
例えば写真なら
撮影者とその中に写っている人の肖像権
(これは肖像で商売できる人の権利、
 一般の方の場合はプライバシーの侵害など、
ちょっと違う意味合いにになります)
どこか私有地の撮影ならその場所の撮影許可先
ということになりますが、
これも口約束などで済んでいる場合が多い。
映像になると、画面に映り込んでいるのは
もっと多数の権利が発生していることも。
それをほぐしていく作業が発生します。
で、途中でハタッと。
これって、連絡すべき相手か?
もっというとお金を払う必要があるか?
というケースに遭遇することが。
でも、その時の担当者に余裕がない場合、
小額なら、と言われるままに
使用料を支払ってしまう・・・
そしてこれが前例となってしまう。
私が連絡して「著作権はこちらにあるのですが
ご協力をいただいたのでご連絡はいたしました
(お金は支払いません)」
という、まあ訳のわからない連絡をすると、
この前例が引き金となり、余計な騒ぎが起きるのです。
だからやっぱり契約書。

海外では10秒の映像使用でも
違約金などの記載がある(案外法外です)
平均6枚くらいの契約書に双方サインをします。
そしてクレジットカードの先払いが多くなりました。

今後、ネット配信や海外展開、などと進むと
今まで日本国内で慣例に基づいて進んでいた話が、
英語の契約書の内容を隅々までチェックしないと
恐ろしい!という時代になります。
これってたぶんいままでの3倍の労力、
一人でやってこれたことが、複数のプロの手が必要になります。
実際、昨年の業務で、裁判が起きる事態になった場合
どこの裁判所を使うのか、という項目で一悶着ありました。
こちら側が権利を持ち、提供する立場にあるのに
クライアントから先方の国の裁判所で、という要求をされ、
それを中立な第3者的な国の裁判所という記載にまで、交渉しつづける。
その労力が映像を提供するよりも何倍もかかりました。
その後、この経験を元に「日本の裁判所で、ということでないと
まずお話は進められません」ということにしていますが、
下請けで仕事をしていると、上流の方で
その点うやむや、もしくは誰もそこを確認せずに業務を進めてしまっていて
後の祭り、状態・・・。

毎回、撮影許可書と契約書、
もしくは口約束でもメールでも、最初の交渉の切れ端を探すこと、
そして前例、特に支払い実績や、以前の交渉の経緯を
関係者(これも散らばっているので、担当を探しいくこともまさに探偵)に
確認する・・・

面倒なんで、時々こんな割の合わない仕事辞めてやる!
って半べそ書いて、
深夜権利者への手紙(アナログな手段が一番いい時もあります)
を書いてることも多いのです。