映像探偵団 

We are Footage Researchers

映像=Image

「映像」という言葉は、昭和に入って、
テレビ放送が開始されてからの造語だそうです。

言葉を探すのはネット上では簡単になりましたが、
「映像を探すこと」はいまだ骨の折れる作業です。
「イメージを伝えるのが難しい・・」なんてよく言いますし。
「雲」といわれて、青空?暗雲?季節はいつ?流れる方向は?
googleで動画検索をしたり、
数ある映像ライブラリーで検索しても、
自分で思い描いている映像にたどりつくのは結構時間がかかります。

「サバンナの夕景」も、
そこに映っているキリンが必要なときもありますし、
美しい夕日だけがほしい、ということもあります。
大地や木の陰の少し暗いところがざらついていて
画質のクオリティを求める展示映像としては使用できないかもしれない、
でも子供たちを対象とした教育用ならとても喜ばれるカットになる。

いまだよく言われるのが「花」の映像。
国内の花か、それとも海外の撮影のものか
日本古来の花か、品種改良された花なのか
花屋さんの店頭にあるようなあでやかな花か
高い山で風になびく小さな白い花か・・・
以前頼まれたのは「画家が描いてきた花」
あんまりパキッとクリアな花の映像より
絵画的な色合いのもの(これも微妙な表現ですが・・・)
これもキーワード検索では出てきません。
「ひまわり」の検索結果数百件分を
ただひたすら試写していくだけです。

ひとつの画面にいろんな意味が盛り込まれてしまう映像は
とてもデータベース化しづらいものです。
人の記憶の中の、いつかみた映画やテレビのワンシーンを伝えあって、
いくつもの言葉を重ねて、
お互いの頭の中のイメージを共有することから、映像探しは始まります。

映像探偵団 営業中

「映像探偵団」
このブログ名 実は数年前に別のところに立ち上げて、それきり。
今回、会社のHPとリンクさせる形で再スタートすることにしました。
映像を探すという仕事、
最近は映像ライブラリーも増えて、動画検索も可能になり
格段に探しやすくなりました。
むしろ困っているのは、以前使った映像の所蔵先を探したり、
映像が撮影された場所や時代を特定したりするケース。
例えば10年前に使った作品から引用しようとすると、
その後、撮影場所が間違ってたり、所蔵先が変わったり、
もしくは個人所蔵が故人になって連絡がつかなかったり、
実は使用についてクレームが入っていたなんてことも。

そもそも契約書なんてものも残っていない場合も多い。
個人で所有していて、辞めたりするとそのまま廃棄されたり、
口約束だけだったり。
撮影許可書、とても大事なんですけど、
(教育目的用の撮影許可だと商業目的では再申請が必要)
その時のコーディネータが持ったままだったり
契約書同様残っていないことも。
契約書残ってないから使用したらダメですよ、
ですめばいいんですけど、
なんとか権利者に連絡しようとする・・・
何ヶ月もかかることもあります。

また、その時代、その作品のナレーションや構成で使えた映像も、
今は意味が違ってくる場合も。
例えば「戦後の焼け跡」お決まりのカットが出てきますが、
それがどこの焼け跡なのか?ナレーションで場所を特定していないか?
先日の仕事では、元のテープを何本もみて
煙突の数で場所を特定しました。

前も使ったから今回も使えるとは限らないのです。
映像が簡単にコピーされ、加工され、使い回しされるために発生した問題。
CG合成された映像の下にだって権利処理必要な写真が潜んでます。

たぶん、このブログ、更新は滅多にできません。
内容も修正加えながら、になるかと。
守秘義務ありますし、あまりぶちまけられない、と思います。
ただ、数十年やってきたなかで、変わってきたこと変わらない事、
相変わらず困っていること、その悪戦苦闘ぶりを一部ご紹介いたします。
(いや、本当に時々「探偵かよ!」っていう状況に陥るんで。)